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第44回東京都立足立西高等学校卒業式の挨拶文掲載について

3月12日(木)に、東京都立足立西高等学校の卒業式を挙行いたしました。

今回はコロナウィルスの感染拡大防止のため、在校生・保護者・来賓の皆様の参列をご遠慮いただきました。
参加をご希望された皆様、誠に申し訳ございませんでした。

今回の式典の様子を、それぞれの挨拶文の掲載と動画ダイジェストの配信にてご覧いただきたいと思います。
少しでも当日の雰囲気が皆様にお伝えできれば幸いです。

1.校長式辞

2.在校生送辞

3.卒業生答辞

4.卒業式ダイジェスト動画の配信について



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1.校長式辞

 今、184名の皆さんの名前が呼ばれ、代表生徒に卒業証書を手渡しました。この日が迎えられ、私は本当に嬉しく感じています。
 こうやって皆さんに語りかけられるのも今日が最後になります。卒業おめでとう。

 私にとって皆さんは、校長として初めて入学許可を出し、本校で3年間を共に過ごし、卒業証書を手渡したという意味で忘れられない存在です。普段は授業も部活も持たず、朝、挨拶を交わすくらいの関係でしたが、様々な学校行事の中で、思ったより多くの皆さんと直接お話をし、笑いあったり、努力する姿に感心したりということが少なからずありました。時には厳しく指導しなければならず、残念に思うこともありましたが、それも振り返れば懐かしい思い出です。
 
 今、様々な学校行事の中で話をしたと言いましたが、体育祭や文化祭などの行事で特に目立った活躍はしていないという人もいることでしょう。部活動もそれほどではなかったという人も。
 けれども私は知っています。特にほめたたえられなくても毎日着実な努力を重ねて自分の夢を実現し、今日の日を迎えた生徒のことを。本校が力を入れているボランティア活動を本当の意味で支えている生徒のことを。登下校中にお年寄りや子供、体の不自由な方にやさしく声をかけ、助けている生徒のことを。それらはすべて私たちの誇りです。

 就職や進学の面接練習では、多くの生徒が私に夢を語ってくれました。
 昔から大好きなお菓子を売ることでお客様の笑顔が見たい。介護の仕事が自分に向いているから目指している。地元で就職した自分が仕事を頑張ることで自分の住む地域を元気にしたい。多くの人に尊敬される看護師になりたい。数学が好きだから簿記を学んで経理の仕事で会社に貢献したい。アスレチックトレーナーになってプロスポーツ選手のサポートをしたい。eスポーツやVRゲームを研究し、ゲームのプロデューサーになりたい。広告代理店に勤めてコマーシャルを作りたい。社会保険労務士となって企業を法的に守る仕事がしたい。ツアープランナーになってちょっと変わった旅のプランを提供したい。子供が大好きだから、大勢の子供たちに囲まれる保育士になりたい。商社マンとなって外国をめぐり、日本では知られていない素敵な物を探し出して日本で売りたい。尊敬する父の仕事を継ぎたい。公務員になって区役所に勤め、地域の活性化に貢献したい。もっと英語を学んで貧困にあえぐ国へ行き、経済的な支援をしたい。ネジを作りたい。理由。身近で、必要で、重要だから…。
 これらが皆さんのすべてではなく、ごく一部なのですからなんと素晴らしい。皆さんにはたくさんの夢を語れる未来が待っていますね。

 そんな様々な夢を語ってくれた皆さんへ、私から最後のメッセージです。

 国民主権、基本的人権の尊重、法の下の平等を謳うこの国の憲法に基づき、差別のない世界を築いてください。

 差別の壁は厚い。人類が抱える永遠の課題かもしれません。
 例えば女性というだけで不利益を被る許しがたい事実がこの国には存在し、現行憲法が制定されて七十年以上がたつというのに一向になくなりません。もちろん人には能力的な差があり、得意不得意があります。適材適所の言葉が示す通り、それぞれに適した社会的な場所は確かに存在します。しかし、それは女性だからという理由で成り立つはずはない。
 去年、東京大学の入学式の式辞で社会学者の上野千鶴子さんが、ある大学の医学部の入試において男子が優遇されているという事実を背景に、頑張っても報われない社会があなたたちを待っているとおっしゃいました。そのような社会を容認しているのはこの社会全体の意思のようなものと考えることもできますが、日本は法治国家であるという前提で考えれば最も責任が重いのは政治家であり、それを選んでいる私たち国民、都民ということになります。だから選挙ではこの候補者は頑張れば報われる社会を作ってくれるのか、幸せな社会を作ることに努力してくれるのか、そこをよく見極めて投票する必要があります。
 
 幸せな社会というのは、お金では作れないことは明らかです。金で作れるなら、経済的に恵まれない国の人々はだれもが幸せな気持ちにはなれずに一生を終えることになってしまう。もちろんそんなことはなく、貧しくても毎日を笑顔で過ごしている人々は確かにいます。
 幸せというのは人と人とのつながりで実感できるものだと思います。家族、友達、恋人、仲間…それぞれのつながりがうまくいくことによって人は幸せを感じるのではないでしょうか。そこに差別はいらないのです。一人一人が意識するとともに、政治や社会の動きから目を離さず、差別のないまっとうな社会を、皆さんには作り上げてもらいたい。あらゆる差別をなくし、未来の子どもたちを幸せにするという気持ちを忘れずに持ち続けてください。
 
 さあ、皆さん、いよいよお別れです。
 
 今日、ここに皆さんを前にして最後のお話ができて、本当に良かった。いざ皆さんを目の前にすると、お祝いなのに、寂しさは募ります。けれども、いつも送り出す側の私たちは、寂しいと思いながらも、皆さんが歩んでいく新たな道を、ほほえみ、手を振って応援しています。
 
 卒業生の皆さんの健康と幸せを心から願い、私の式辞とします。

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2.在校生送辞

 校庭の木々も、暖かな春の日差しに輝き始める季節となりました。その輝きが、先輩方の人生の輝きを予感させるような今日の良き日。卒業生の皆様が、ご卒業を迎えられますことを、在校生一同、心よりお祝い申し上げます。
 
 今、皆様は、この足立西高等学校での3年間をどのように振り返っていらっしゃるのでしょうか。多くの人との出会いの中で、貴重な経験をし、様々な思い出を作ってきたことと思います。
 
 お別れに際して目を閉じると、私たち在校生にも、先輩方と過ごした数々の思い出が蘇ってまいります。
 体育祭では、あいにくの天気でしたが、「雨でもできるところまでやり切る!」という先輩方の諦めない姿勢から熱い思いが伝わり、私たちも鼓舞されました。
 桜友祭では、リーダーシップをとる生徒会の先輩方の姿勢や、手際よく作業をする姿、ひときわ輝くステージパフォーマンスや模擬店の盛況ぶりなどが、目に焼き付いています。
 部活動においても、先輩方は常に私たちの先頭に立ち、リーダーシップを発揮してくださいました。日々の練習を通して、机の上の勉強だけでは得ることができないものを教えていただきました。先輩方が部活動で鍛えた精神力や忍耐力は、これからの人生の中で必ず生きてくることと思います。

 この先、先輩方は、進学に、就職にと、それぞれの道へ進まれるわけですが、それは山あり谷ありの日々だと思われます。そんな決して楽ではない道のりに挫けてしまいそうな時は、この3年間を思い出してください。この3年間の思い出が糧となり、乗り越える力を与えてくれることと思います。

 いよいよお別れの時です。私たちは先輩方が残してくださった「伝統」や、言葉では言い表せない「心」の部分をしっかりと継承していきます。また、先輩方が熱い思いで築き上げてこられた、この足立西高等学校を大切にし、さらに発展させるべく努力を惜しまないことを誓います。どうかこれからも温かく見守ってください。

 卒業生の皆様の末永いご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げ、在校生送辞といたします。

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3.卒業生答辞

 3年間という年月はあっという間にすぎ、私たち卒業生184名は、本日足立西高校を巣立ちます。

 足立西高で過ごした日々を思い返すと、どれも尊く、かけがえのないものばかりでした。

 遠足でスタートした1年生。全く話したことがないクラスメイトとの行事に緊張して臨みましたが、登山やバーベキューをするうちにクラス全体が少しずつ和やかになっていくのを感じました。
 高校生活に慣れ、生徒会や部活動で中心的役割を任されるようになった二年生。最も思い出深い行事は、やはり大阪・徳島への修学旅行でした。シュノーケリングやシーカヤックなどのマリンスポーツを体験したり、ユニバーサルスタジオジャパンを一日満喫したりしました。また、阪神・淡路大震災の遺構や記録に触れることで、災害の恐ろしさを目の当たりにしました。この3泊4日がとても充実した時間であったと、参加した誰もがそう思ったはずです。
 3年生になり、どの行事にも「最後の」という枕詞がつくようになりました。
 最後の体育祭。準備や練習の段階では意見の衝突があったり、当日は雨の影響でいくつかの競技ができずに終わったりしましたが、リレーや応援合戦など、何事にも全力で取り組む44期生の団結力を見せることができました。
 最後の文化祭。3年間で1番思い出に残る文化祭にしようと、どのクラスもぎりぎりまで準備にいそしみました。その結果、お客様からの評判はとても良く、屋台の売り上げも予想をはるかに超えて、大成功に終わることができました。

 たくさんの行事の間に、いつしか進路目標達成に向かっていった私たち。それぞれの試験日当日までの期間の短さに、日々焦燥感に駆られました。しかし、放課後も土日も一緒に頑張る同級生の姿に常に支えられました。そして、受験や就職活動だけではなく、高校生活のどの瞬間でも、常にそばには明るくて個性豊かで、いつも優しくて時には厳しい先生方がいらっしゃいました。つらいときに私たちの心や身体を気遣う言葉、まさに今という瞬間に私たちを奮い立たせる言葉。先生方の数えきれない支えによって、私たちは受験にも高校生活にも立ち向かうことができました。

 何より、私たちが最も感謝すべきなのは、家族の存在です。入学式の日、「3年間なんてあっという間だよ。後悔しないように頑張って。」と言われたのを今でも覚えています。本当にあっという間でした。毎日のお弁当、部活動の応援。甘えてばかりで、時に不満やいらだちをぶつけたこともありました。それなのにどんな時でも見守ってくれた家族のおかげで今日を迎えることができました。改まって言うのは恥ずかしいけれど、この場を借りて言わせてください。今日まで育ててくれてありがとうございます。この先もたくさん迷惑をかけると思いますが、これからもよろしくお願いします。

 何度も繰り返しになりますが、あっという間だった3年間。多くの仲間と出会い、共に時間を過ごすことができました。44期生のみんなに共通していたのは、毎日笑顔が絶えない明るさでした。愉快で頼もしい友人たちのおかげで、毎日の高校生活が楽しくて仕方ありませんでした。たくさんの笑顔をありがとう。みんなに出会えて、本当に良かった。

 私たちの高校生活は、今日で終わります。楽しくて、当たり前の日常が、終わります。

 しかし、これが未来への第一歩であり、私たちの進む道への通過点なのです。これからの人生で挫折や困難に立ち向かうことになると思いますが、私たちには心強い仲間たち、先生方、家族のみんなからもらったもの、学んだことがあります。それを胸に抱きながら、明るい未来へ向かって歩んでいきます。

 最後に、学校生活を支えてくださった全ての方々に御礼を申し上げるともに、足立西高校の更なる発展を願って、答辞の言葉とさせていただきます。

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4.卒業式ダイジェスト動画の配信について

 このページで掲載した挨拶の一部に加え、卒業生全員で歌った式歌『旅立ちの日に』の歌声を本校のTwitterでお届けしています。
 ぜひ、スマートフォンやパソコンで、当日の雰囲気を味わってください。

 東京都立足立西高等学校公式Twitter https://twitter.com/adachiwest
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